泳ぐのに、安全でも適切でもありません/江國 香織
2006年5月21日 読書
去年、友人の誕生日に贈った短編集。
2作目の
うんとお腹をすかせてきてね がちょこっとヒット。
* * *
「全部肉体になるといいな。
裕也と食べるものは、全部きちんと肉体にしたい。」
* * *
普段気付かないのに
こうして文字で見て あぁ と納得する感覚。
これさえあれば、暫く何も要らないな と思う。
2作目の
うんとお腹をすかせてきてね がちょこっとヒット。
* * *
「全部肉体になるといいな。
裕也と食べるものは、全部きちんと肉体にしたい。」
* * *
普段気付かないのに
こうして文字で見て あぁ と納得する感覚。
これさえあれば、暫く何も要らないな と思う。
目下の恋人/辻 仁成
2006年4月27日 読書
“一瞬が永遠になるものが恋
永遠が一瞬になるものが愛”
* * *
自分でも気付かぬうちに
誰かに全てを委ねてる。
傍に居ることが当たり前で
隣にあることが普通になってて。
いい意味でなぁなぁになってゆくのが
狎れあうこと。慣れあうこと。
* * *
言葉には乗らない想いが
実はほんとうの思いだったりするよね。
永遠が一瞬になるものが愛”
* * *
自分でも気付かぬうちに
誰かに全てを委ねてる。
傍に居ることが当たり前で
隣にあることが普通になってて。
いい意味でなぁなぁになってゆくのが
狎れあうこと。慣れあうこと。
* * *
言葉には乗らない想いが
実はほんとうの思いだったりするよね。
ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編/村上 春樹
2006年4月8日 読書村上春樹の作品は
読む度に印象ががらりと変わる。
* * *
『スプートニクの恋人』を最近読んだけれど
どうしても
この作品にそれと共通する 何か を感じてしまう。
“ある瞬間に失われてしまった 私の中の ある何か”
作中の言葉を借りればそういうことになるのだろうし
それは生きるために必要な情念 のようなものなのだろう。
* * *
行動を意識するか否か
無生物にも意思が存在すると見るか否か で
事象の 意味 が変化する。
…そういうこと?
* * *
最近高濃度で本の虫。
どうせまた引っ越すのだから
あまり有形財は増やしたくないのだけれど。
東京タワー/江國 香織
2006年4月5日 読書
この本を
友人に贈ったのは3年前?
人に薦めておきながら
どうしても恋愛から距離を置きたいがために
自分からは遠ざけてた。
そんな 『東京タワー』
* * *
“女は年をとるにつれて無邪気になるのだ。”
とか
“待つのは苦しいが、待っていない時間よりずっと幸福だ。”
とかいうフレーズに交えて
“缶づめのイワシみたいにならんで横になったまま”
なんて入れてしまう彼女らしさ。
激しい感情のもつれるベッドシーンも
どこか柔らかく感じられる気がする。
* * *
「食事をしてはげた口紅は、ぬり直せばすぐに元に戻るの。
でも、こうやってとれた口紅は
ぬり直そうとしてもなかなかつかないのよ」
…なるほどそうね。
気付かなかったわ(苦笑)。
友人に贈ったのは3年前?
人に薦めておきながら
どうしても恋愛から距離を置きたいがために
自分からは遠ざけてた。
そんな 『東京タワー』
* * *
“女は年をとるにつれて無邪気になるのだ。”
とか
“待つのは苦しいが、待っていない時間よりずっと幸福だ。”
とかいうフレーズに交えて
“缶づめのイワシみたいにならんで横になったまま”
なんて入れてしまう彼女らしさ。
激しい感情のもつれるベッドシーンも
どこか柔らかく感じられる気がする。
* * *
「食事をしてはげた口紅は、ぬり直せばすぐに元に戻るの。
でも、こうやってとれた口紅は
ぬり直そうとしてもなかなかつかないのよ」
…なるほどそうね。
気付かなかったわ(苦笑)。
柔らかな頬/桐野 夏生
2006年4月5日 読書
話題になったあの頃から
文庫に落ちるまで待ってた本。
書店で見つけて即買いしてから
手に取るまで、さらに半年。
ようやく読めました。
* * *
“自分以外の人間は皆自分とは違うという
わかりきった真実を経験したことがあるか”
* * *
一人で置いていかれる。
それを 「壊れる」感覚。
という桐野氏。
正直、泣きそうになりました。
この人は全て視って(しって)いるんだな って
そう感じたから。
* * *
今まで忙しくて読めなかったことに
なんだろう
誰かの「意図」が働いているような気がする。
読んだのが 今 でよかった。
文庫に落ちるまで待ってた本。
書店で見つけて即買いしてから
手に取るまで、さらに半年。
ようやく読めました。
* * *
“自分以外の人間は皆自分とは違うという
わかりきった真実を経験したことがあるか”
* * *
一人で置いていかれる。
それを 「壊れる」感覚。
という桐野氏。
正直、泣きそうになりました。
この人は全て視って(しって)いるんだな って
そう感じたから。
* * *
今まで忙しくて読めなかったことに
なんだろう
誰かの「意図」が働いているような気がする。
読んだのが 今 でよかった。
彼女の作品に初めて触れたのは学校の教科書だった。
(確か小学校の高学年だったと思う。)
向田邦子さんの『眠る盃』というエッセイの一節と知り
昼休み「向田…向田」とぶつぶつ唱えながら図書館を歩いた。
そんな自分が目に浮かんで
気まぐれに行った古本屋さんでつい買ってしまった。
* * *
「字のない葉書」。
疎開が決まった末娘のために父親が書いた手紙。
その不器用な中にある父親の温かさ。
子供ながら
父に似たお父さんだな、と感じたお話。
* * *
10年ぶりに再び手にした本。
なのに
自分がその時どんな気持ちで読んでいたのか鮮明に思い出せる。
私は本の虫だった。
こういう本から学んだものが今の私を支えている。
本が私の原点かもしれないな、なんて思った。
(確か小学校の高学年だったと思う。)
向田邦子さんの『眠る盃』というエッセイの一節と知り
昼休み「向田…向田」とぶつぶつ唱えながら図書館を歩いた。
そんな自分が目に浮かんで
気まぐれに行った古本屋さんでつい買ってしまった。
* * *
「字のない葉書」。
疎開が決まった末娘のために父親が書いた手紙。
その不器用な中にある父親の温かさ。
子供ながら
父に似たお父さんだな、と感じたお話。
* * *
10年ぶりに再び手にした本。
なのに
自分がその時どんな気持ちで読んでいたのか鮮明に思い出せる。
私は本の虫だった。
こういう本から学んだものが今の私を支えている。
本が私の原点かもしれないな、なんて思った。
一瞬の光/白石 一文
2006年2月8日 読書
“一日一日、一年一年
その一瞬たりとも私のことを思い出さなくなったとしても
私はどこか遠く知らない場所で生きている香折のことを
一日一日、一年一年
気にかけてこれから生きていくだろうと思った。
そうやって生きていくことができるだろうと思った。”
* * *
感情移入することなく同調できた。
仕事だけじゃなく、その一瞬一瞬の判断ミスが命取りなんだろう。
色々な意味で、ハッとさせられた。
その一瞬たりとも私のことを思い出さなくなったとしても
私はどこか遠く知らない場所で生きている香折のことを
一日一日、一年一年
気にかけてこれから生きていくだろうと思った。
そうやって生きていくことができるだろうと思った。”
* * *
感情移入することなく同調できた。
仕事だけじゃなく、その一瞬一瞬の判断ミスが命取りなんだろう。
色々な意味で、ハッとさせられた。
愛はプライドより強く/辻仁成
2005年12月24日 読書
現実逃避の本の虫。
ほぼ1日1冊ペースで順調にノルマ達成中。
* * *
“記憶にある、一番最近泣いた日のことを教えてもらえませんか?”
こんなこと聞かれたら
すぐにでも恋に堕ちてしまうような気がした。
辻さんの文章のせいかもしれないけれど
私はこういう優しさに弱い、みたいだ。
* * *
プライド。
誇りと言えば聞こえはいいけれど
どうしても人を頑なにさせる何かを思ってしまう。
私の持つそれはむしろ
見栄と呼ばれる卑しいものかもしれない。
ほぼ1日1冊ペースで順調にノルマ達成中。
* * *
“記憶にある、一番最近泣いた日のことを教えてもらえませんか?”
こんなこと聞かれたら
すぐにでも恋に堕ちてしまうような気がした。
辻さんの文章のせいかもしれないけれど
私はこういう優しさに弱い、みたいだ。
* * *
プライド。
誇りと言えば聞こえはいいけれど
どうしても人を頑なにさせる何かを思ってしまう。
私の持つそれはむしろ
見栄と呼ばれる卑しいものかもしれない。
シルエット/島本 理生
2005年12月23日 読書
1時間掛からずに読破。
読みやすいけれど、ただ優しいだけじゃない。
なかなか言葉にならない想いが溢れていて
読み終えてなんだか嬉しくなった。
* * *
冠くんと「わたし」との恋。
惹かれあうゆえに傷つけあって
お互いがお互いに気付いた時にはもうなす術が無い。
この感じ、分かるんじゃない?
読みやすいけれど、ただ優しいだけじゃない。
なかなか言葉にならない想いが溢れていて
読み終えてなんだか嬉しくなった。
* * *
冠くんと「わたし」との恋。
惹かれあうゆえに傷つけあって
お互いがお互いに気付いた時にはもうなす術が無い。
この感じ、分かるんじゃない?
With you/幻冬舎文庫
2005年12月22日 読書
女性作家が描く女性のための官能小説。
…なるほど官能小説だったんだ。
道理でSとかMとか出てくるわけだ。
* * *
年齢もテイストも違う作家が記す女の性は
どれも悩ましい。
性的なものじゃなくてむしろ
恋愛中のその心情が生々しい。
* * *
個人的には
一番最初の小池真理子さんの文章にやられた。
冷静な言葉が、今の私には悉く突き刺さる。
* * *
“どうして特定の誰かに魅かれるのだろう。
(…)条件だけとればどこにでもいるような男だ。
金持ちでなければ、美形でもない。飛び抜けた才能があるわけでもない。
それなのに執着した。失った途端、自分が壊れた。”
―――『曼珠沙華』 桐生典子
高校のとき、初めて本気の恋を失った。
居場所がない毎日のなか
何度この言葉を己にぶつけたことだろう。
* * *
私ね
やっぱり男と女って、寄り添い求め合うものなんだと思う。
虚しさを感じても
遣る瀬無さを感じても
心も身体も「安定」求めて常にふわふわしてる。
たとえ強い人間でも、独りじゃ生きられない。
* * *
誰かさんの「恋したいmode」にやや感染気味。
恋愛だけが幸せの全てじゃないってのに!もう!!
…なるほど官能小説だったんだ。
道理でSとかMとか出てくるわけだ。
* * *
年齢もテイストも違う作家が記す女の性は
どれも悩ましい。
性的なものじゃなくてむしろ
恋愛中のその心情が生々しい。
* * *
個人的には
一番最初の小池真理子さんの文章にやられた。
冷静な言葉が、今の私には悉く突き刺さる。
* * *
“どうして特定の誰かに魅かれるのだろう。
(…)条件だけとればどこにでもいるような男だ。
金持ちでなければ、美形でもない。飛び抜けた才能があるわけでもない。
それなのに執着した。失った途端、自分が壊れた。”
―――『曼珠沙華』 桐生典子
高校のとき、初めて本気の恋を失った。
居場所がない毎日のなか
何度この言葉を己にぶつけたことだろう。
* * *
私ね
やっぱり男と女って、寄り添い求め合うものなんだと思う。
虚しさを感じても
遣る瀬無さを感じても
心も身体も「安定」求めて常にふわふわしてる。
たとえ強い人間でも、独りじゃ生きられない。
* * *
誰かさんの「恋したいmode」にやや感染気味。
恋愛だけが幸せの全てじゃないってのに!もう!!
君主論/マキャヴェリ
2005年12月19日 読書
中学生の時は
マキャヴェリズムが理解できなくて挫折した。
幼心にも“人間はそんなに悪いものじゃない”と
反撥を覚えたから。
* * *
恩師によると“如何にしてヒトに意地悪するか”が書かれた本。
ゼミの関係で再び手にすることになった。
ゼミで取り上げたデカルトに比べ
マキャヴェリは研ぎ澄まされた刀のようだと思った。
人は疑うべきもので、信じられるのは己のみ。
…そんな危うい脆さが、諸刃の刃を思わせる。
* * *
神なんてこの世には居ない。
だから誰も救われない。
神の御手に縋ることなく、残忍に、狡猾に生きよ。
確かにそういうことなんだろうけれど
寛容の精神を持つ余裕のない分、デカルトに劣る印象が拭えない。
神に依拠するデカルトにも
私は賛同致しかねるのだけれど。
マキャヴェリズムが理解できなくて挫折した。
幼心にも“人間はそんなに悪いものじゃない”と
反撥を覚えたから。
* * *
恩師によると“如何にしてヒトに意地悪するか”が書かれた本。
ゼミの関係で再び手にすることになった。
ゼミで取り上げたデカルトに比べ
マキャヴェリは研ぎ澄まされた刀のようだと思った。
人は疑うべきもので、信じられるのは己のみ。
…そんな危うい脆さが、諸刃の刃を思わせる。
* * *
神なんてこの世には居ない。
だから誰も救われない。
神の御手に縋ることなく、残忍に、狡猾に生きよ。
確かにそういうことなんだろうけれど
寛容の精神を持つ余裕のない分、デカルトに劣る印象が拭えない。
神に依拠するデカルトにも
私は賛同致しかねるのだけれど。
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